数珠の種類、どれを選べばいい?宗派の決まりは?

仏具・仏事の豆知識

葬儀や法要の時に、皆さんが持っている数珠。全員が持っているからこそ、間違ったものを持っていったら恥ずかしいな…と思った事はありませんか?ここでは、皆さんが疑問に思っている数珠についてをご紹介します。

数珠ってなに?使い方を知る

そもそも、全員が持って法要に参加しているけれど、他では特に使用していないような…?と感じていらっしゃる方も居るのではないでしょうか?では、数珠は何故必要なのでしょうか。

数珠はなんの為に持つの?

数珠は、2世紀頃の古代インドが発祥といわれています。日本には仏教とともに伝わり、「お経を何回読んだか」を把握しやすくするために使用されていました。平安時代から使用され始め、現在では多くの種類の数珠が存在します。数珠には、次のような用途や意味があります。

・祈りと瞑想の助け

念仏や真言を唱える際に使われ、珠を一つずつ指で弾くことで唱えた回数を数えます。これにより、集中力を高め、心を落ち着かせる効果があります。

・護符としての役割

お守りとしての役割も果たし、身につけることで悪霊や災難から身を守るとされています。

・信仰の象徴

信仰心を象徴するものとされ、日常的に身につけるものとされています。特に法事や葬儀などの儀式において重要な役割を果たします。

このように、実用的にも象徴としても、重要な役割をもっている物が数珠なんですね。

数珠玉に使われるのはどんなもの?

数珠には様々な種類の素材が使われています。珠の種類については、ほとんどの場合、ご自身が好みのものを使用する事が一般的です。ここでは、どんな材質のものがあるのかを見てみましょう。

石の数珠には輝石や鉱石などが使用されます。美しい色をもつ石、無色透明や、光沢があるものなど様々な物があり、古くから装飾品として使用されてきました。その中でも人気のある物をご紹介します。

  • 翡翠(ヒスイ、Jadeite)

古代から装飾品として使用されてきた石です。緑色が最も有名です。高価で美しい輝きを持つため、特に高級数珠に用いられます。深い緑色が特徴的なミャンマー翡翠の他に、国産品では糸魚川翡翠が有名です。

金色と茶色の縞模様が特徴で、光の反射で虎の目のように見える石です。財運を招く効果があると信じられ人気を集めています。多くは男性用として使用されています。

  • 瑪瑙(メノウ、Agate)

縞模様が美しく多彩な色合いを持ち、数珠に多く使用されます。仏法七宝の一つであり、仏教とも関わりが深い石です。一般的な数珠から高級数珠まで広く使用されます。

  • 水晶(クリスタル、Quartz)

透明で純粋な美しさを持ち、一般的な数珠に広く使用されます。浄化の力があるとされ、仏法七宝の一つとして人気です。四月の誕生石として親しまれます。

紫色の美しい石で、男女共に広く人気があります。精神の安定と浄化の力があると信じられています。色の濃いものほど高価な数珠に使用されます。

化石類

数珠の中には、化石を加工したものも存在します。人気が高いですが、材質上、高価なものが多いことが特徴です。

赤、ピンク、白などがあり、特に赤は価値のあるサンゴの一つとされます。仏法七宝の一つに数えられ、女性の幸せを守る効果があるとして、女性用数珠に使用されます。

  • 琥珀(こはく、Amber)

古代の樹脂が長い年月をかけて化石化したものです。透明感のある黄金色や蜂蜜色が最も広く知られています。バルト海沿岸地域で多く採掘されます。

パール(真珠)

女性用の高級数珠として人気が高い材質です。首飾りなどを数珠に作り替えることも出来ます。中糸は絹糸や細いワイヤーが使用されます。通常の数珠とは作り方が違うため、中糸が切れた場合などは仏具店ではなく、製造元や宝飾品取扱店のみで修理を受けつけています。

香木、木の実、その他木材

数珠には木材や木の実なども多く使用されており、取扱いのしやすさや、重量の軽さ、質感などから好まれています。男性用の数珠に多く使用される傾向にあります。

  • 香木

断片を燃焼・加工することで香りを楽しめる木材のことです。沈香白檀伽羅などが知られています。希少で高価な木材で、高級な数珠に使用されます。

  • 菩提樹の実

菩提樹(ぼだいじゅ)は、仏教において非常に重要な意味を持つ樹木のことです。木の実を加工して数珠玉として使用します。代表的なものに、金剛(こんごう)菩提樹星月(せいげつ)菩提樹などがあります。

  • その他木材

扱いやすさから、紫檀黒檀栴檀鉄刀木ケヤキシャム柿などの木材も好んで使用されます。

他にも、ガラスプラスチックを使用したもの、漆玉隕石など、数珠の種類は多岐に渡ります。どのように使うのかを考慮して、材料を選ぶのも良いでしょう。

宗派の違いは?略式と本式ってなに?

数珠は使う場面によって形が変わります。ここでは、宗派別と略式の違いを見てみましょう。

宗派別の本式念珠(ほんしきねんじゅ)

宗派ごとに定められた正式な数珠が、本式念珠(数珠)です。そのため一口に本式数珠といっても、さまざまなタイプのものがあります。

  • 浄土真宗

浄土真宗の念珠は数取りができないように、房が「蓮如(れんにょ)結び」になっています。

  • 浄土宗

浄土宗の念珠は、2つの輪を一つに繋いだような形状が特徴です。銀輪と呼ばれるリングに房が着けられています。

主珠が百八個の数珠を二重にして用います。曹洞宗と臨済宗の念珠は基本的に同じ形ですが、曹洞宗には銀輪が付き、臨済宗には付きません。

主珠108個、親珠2個、天珠4個に、梵天房が一般的です。曹洞宗や臨済宗と同様に、珠数を二重にして用います。

  • 天台宗

天台宗の数珠は扁平な平玉(ミカンのような形)が特徴です。親玉から連なる長い房には、20の平玉と10の丸玉が付いています。

日蓮宗では祈祷する際に、木剣と数珠を組み合わせたものを打ち鳴らします。従って、黒檀や紫檀など堅く丈夫な材質が主流でしたが、昨今は水晶など様々な素材のものがあります。

略式念珠(りゃくしきねんじゅ)とシーン別の用途は?

略式念珠は、本式念珠に比べ簡略化されたデザインになっています。本式念珠よりも、使用出来るシーンが格段に広がる点が特徴です。

108個の玉が揃っているもので、一本になっています。八宗用とは主要各宗派の事を指し、別宗派の葬儀などに参加した際に使用します。

  • 腕輪数珠(念珠)

ブレスレットタイプの数珠です。日常的に持ち歩くために使われます。ファッションアイテムとしても使用されています。

持ち歩きやすいように小型化された数珠です。特定の宗派に限定されず使用でき、法事や旅先などライトな場面で使用します。

このように、数珠といってもシーン別で様々な形があります。どのような場面で使用するのかを考えて、選ぶことが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか。当たり前のように持っていた数珠も、こうして見てみると意外と奥深い道具なんですね。皆さんもこの記事を参考に、自分のお気に入りの数珠を探してみるのも楽しいかもしれません。ぜひ、素敵な物を見つけてくださいね。

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